「在野」で生きる
「在野」の意味は、辞書には「① 野外に居ること。田野の間に住んでいること、② 公職につかないで民間に居ること、③ 政党が政権をとらないで、野党の立場にあること、の3つが載っている。しかし、早稲田大学にとっては、交友(=卒業生)も含めて一般的な意味とは違う意味を持っていることが多い。それは、早稲田大学教旨にある「学問の独立」の「在野精神」としてであり、「自主独立の精神を持つ近代的国民の養成を理想として、権力や時勢に左右されない、科学的な教育・研究」と提示されている。
「在野精神」という用語が早稲田にとって特別なのは、健学の精神に歴史的な要素が色濃いからだろう。もともとは「大学」といえば官民エリートを育成する帝国大学(=現東京大学)で、当時の早稲田は「専門学校」だった。政治の中枢から追い出された大隈重信が創始者であり、つまりはそういうことだ。ただし、政治的な反乱というよりは純粋に学問を研究することが目的で、実際、当初は東大からも講師を招いたのである。決して、田舎に住み、官民色を捨て、野党を支持しているわけではない。
医師でありながらALS患者である太田守武は、「障害や病気を受け入れて生きることで人に勇気を与える」という信念のもとこのように述べている。「重度障害や病気があっても、生きているだけで多くの人に勇気や笑顔を与えられます。」(『早稲田学報』)。あらに、難聴でほぼ音が聞こえないアーティストの大庭れいじは、「『耳が聞こえない自分だからこそ、自分にしか変えられない未来がある』と信じています」としたうえで、作品を「さまざまな祈りを後世に残していく後世に残していく、それが私の人生の目的」と述べている。
「在野精神」で生きていこう!
※参考文献
コトバンク、https://kotobank.jp/
早稲田大学教旨、https://www.waseda.jp/top/about/work/mission 早稲田大学
早稲田大学校友会、(2023・10)『早稲田学報』
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