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教員採用試験論文対策 総論+課題①「信頼される教師」


 教員採用試験の論文試験対策で苦労している方も多いであろう。そこで、私の知識と経験から教員採用試験の論文対策の概要を述べようと思う。各自治体の問題傾向によるが論文対策には学習方法がある。ポイントは、①4分野の論文を用意する、②型を活用する、③学習指導要領等を踏まえる、の3つである。

 まず、「①4分野の論文を用意する」というのは、基本となる4つの教育命題に対してあらかじめ合格論文を作成しておき、本番ではそれを清書するということである。その分野とは、(1)確かな学力(学習指導論)(2)豊かな心(生活指導論)(3)信頼される教師(教師論)(4)職業観・勤労観(進路指導論)、の4つである。余裕があれば他に、地域との連携や危機管理等について作成しておくと良いだろう。

 「型を活用する」というのは、過去問の文字数や時間配分等を分析し、文章の型を用意しておく。本番は、課題に応じて型に自分の意見を当てはめていく作業をするのだ。例えば、「信頼される教師」という問題に対して、1500字程度であれば、最後の参考文のような型を作っておきけば良い。すなわち、定義→問題点(経験等含む)→2つの解決策→具体的2つの方策→決意文、の流れとする。

 最後に、説得力があり、斬新で熱意ある論文作成には、その課題に対する見識と、その具体的な方策をどれだけ厳選できるかである。その答えは、文部科学省の学習指導要領や答申、そして自分の人生そのものである。

 以下に「合格論文(2010年作成試験準備版)」の代表例を掲載しておくので、ぜひ参考にして欲しい(内容の一部は削除)。また、blogにも参考となるものがあるだろう。

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「信頼される教師」('12)<1500字程度>

 信頼される教師とは、教職に対する熱意と使命感を持ち、専門職としての学習指導・生活指導の知識・技術を有するとともに、学校組織の一員として、生徒や教職員等と幅広くコミュニケーションができる人間である。私は、英語科教諭として、他の教職員と指導に関する情報交換を積極的に行い、ICTを導入するなど実践的指導力の向上に努めた。その結果、保護者との三者面談の際には、「子どもが先生のことを信頼しているので、これからもご指導をよろしくお願いします」という言葉を頂き、その生徒との強い信頼関係によって、以降の生活指導や学習指導が円滑なものになった。

 現在、教師に対する信頼の揺らぎの原因として、依然として後を絶たない一部の教師による不祥事が挙げられ、同時に、教師の指導力不足も社会問題となった。このような経緯を得て、教師への信頼回復の手立てとして教職大学院や教員免許更新制が導入された。また、様々な資質・能力を持った教師がより高い教育目標を掲げ、組織人として協調的なコミュニケーションを図ることが求められている。

 したがって、信頼される教師であるために、二つの視点が考えられる。第一に、教師としての熱意や使命感を持ち、高い専門的知識・技能を生かして生徒に指導をすることである。第二に、学校組織の一員として、教職員や保護者等と連携・協働していくことである。このことから、教師は、生徒の実態に応じた指導力の向上に努めるとともに、幅広くコミュニケーションを取りながら連携・協働していくことが重要である。

 私は、高等学校の英語科教諭として、信頼される教師となるために、次のように実践する。

1 教育相談の知識・技能を高め、熱意・使命感を持って生徒に接する

 私は、教壇に立ちながら、英語の資格試験にも挑戦をしたことが単語の覚え方を生徒と一緒に考えていくといった具体的な学習指導に繋げられた。そこで、昨年に取得したカウンセラーの資格を生徒の指導に生かす。学級開きでは、構成的エンカウンターを行って生徒の豊かな人間関係を築く機会を設ける。また、学級の実態に応じたテーマでソーシャルスキルトレーニングを取り入れて他尊感情や思いやりの気持ちを高め、定期的に個別面談を行って生徒の言葉に共感的に耳を傾けて生徒と心の交流を図る。実践した教育相談は必ず振り返り、研修会や講演会等に積極的に参加することで常に最新の専門的知識と技術を身に付けておく。

2 幅広くコミュニケーションを取り、信頼関係を醸成する

 学級担任をしたとき、年度初めに学年主任を中心に綿密に協議をし、指導方針を確認してから生徒に指導を行ったことで、問題行動を減らすことができた。この経験を生かし、学年団で話し合った指導方針を学年通信としてまとめて家庭・地域に発信する。これを学級懇談会やPTA活動等の資料とし、家庭及び地域の方と意見交換会を行う場を設けて、学校への信頼を高めていく。

 信頼される教師であることは、教師の資質・能力の最も重要な要素の一つである。私は、校長の指導の下、教師としての責任感・使命感を持ち、コミュニケーションを大切にしながら、組織の一員として職務に全力で取り組む。

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※参考文献

裏C、(2011) GHF'03 「誰かが一言」


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