『たったひとつの「真実」なんてない』〜懐疑的な消費者・賢い主体者〜
- Tom
- Jul 10, 2021
- 2 min read
Updated: Sep 23, 2021
私たちは決してメディアに振り回されていないと信じている人は多いと思う。以前、ヤフコメは廃止すべきで論証したように、一部の情報、それも自分に都合の良いソースだけを切り取ってメディアに吸収されていく。このようにメディアの本質が見抜けない状況は、私たちがメディアリテラシーをさらに見につけるべき典型例であろう。
筆者は、テレビディレクター時代にオウム真理教の現役信者のドキュメンタリー『A』を自主制作映画として発表した。内容がその当時に迎合した内容でなかったたまであったが、ベルリン映画祭に正式招待されるといった評価を受けている。メディアの問題点や矛盾点を現場の視点をとメディア論の融合を目指したのが本書である。
北朝鮮に対するイメージと実際の韓国旅行を引き合いに出して、メディアが私たちに持つイメージと実態を比較し、それがどのように「真実」になるかを論証していく。そのプロセスを歴史的観点から見たあとに、私たちがどのようにメディアと向きあっていくべきかを問いかけている。
筆者にはディレクターとして組織の論理に負けた悔しさがあるのだろう。それが本書の執筆の大きな原動力であり、メディア消費者の私たちに伝えたいことの核になっている。比較的カジュアルな文体で一度提示された主張をなんども同じようなロジックで提示していくので、間延びした読了感を持ってしまう。それは終盤になった分かることだが、基本的に大学生に向けて書かれた文献だからのようだ。今は、インターネットの普及で私たちが誰でもメディアになれる可能性があり。私たちはメディアに懐疑的な消費者であるとともに賢い主体者としてメィデアコントロールが求められているのだ。
※参考文献
森達也、(2014 11 10)、『たったひとつ「真実」なんてない』ちくまプリマー新書








Comments