『国際共通語としての英語』〜現代の「英語」学習とは〜
- Tom
- Mar 20
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「英語が流暢だ」といった場合の「英語」に関して、それが現代社会でどんなものかと尋ねても愚問であるように見える。しかし、その「英語」はグローバル社会で大きな質的変容がある。そして、それに伴う学習者及び指導者等が知っておくべき新しい知見もあるのだ。これを提示してくれるのが本書の鳥飼玖美子氏である。
本書の提言は非常に明確で、一つは「使える英語」・「使えない英語」といった英語学習において顕著になりやすい対立概念を捨て相対的に英語を学ぶべきであるということである。もう一つは、国際共通語となった英語を学ぶ、教えることの意味をしっかり吟味し、教育に生かすべきだということだ。英語を単なる4技能のスキルがどれだけネイティブに近いかといったことではなく、言語相対主義論をベースにしながらどんな人々ともコミュニケーションを取るための教育内容の精選を図るべきという主張である。
これが執筆されたのはまだCFERが制定されて間もない頃であるが、その後のセンター試験が共通テストに改変された際に、英語の試験が実用英語に大きく重心をずらしたことを考えると、この先駆的かつ現在進行形の議論であることが分かるだろう。共通テストは実用のための英語に軸足を置くのに対して、各大学の個別試験では教養としての英語が幅を利かせており、そのギャップに受験生は苦しんでいるように見える。議論が中途半端なまま大学入試改革を見切り発車してしまった負の側面がここにも見られるだろう。
一方、近年は英語検定試験のレベルはどんどん上がってきている。本場の英語に触れる機会や教材が圧倒的に増え、帰国子女も多くなっていることなどが原因として挙げられそうだ。しかし、第二言語として英語を学ぶ以上、ネイティブ英語になることは不可能だ。そもそも第二言語使用者の方が圧倒的に数が多いので、相手の訛りや文化的背景を踏まえながらコミュニケーション能力を図ることが重要である。また、多少のミスや日本語英語は十分に許容されるべきなのだ。これらを学校教育の中でどのようにカリキュラムた言語材料に組み込み実践していくかは難しい問題であるものの、そうした視点を持ちながら英語を学ぶこと及び指導することは非常に有益なことを提示してくれる一冊である。
※参考文献
鳥飼玖美子(2011・4・20)、『国際共通語としての英語』講談社現代新書








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