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英語を感覚で理解する 〜『一億人の英文法』〜


 英文法は、多くの場合、機会的に暗記することが多いだろう。しかし、大西泰斗著『一億人の英文法』は、そうした膨大な知識をうまく結びつけさせてくれるとともに、英語を感覚的に処理していくことを可能にさせてくれる。

 例えば、動詞の「過去形」の本質である。「過去形」の持つ本来の意味は「距離感」である。

It started raining.

(過去という現在に対して時間軸上の距離)

How many nights did you wish to stay, sir?

(厚かましさから心理的な距離)

I wish I had a girlfriend.

(現実から乖離した、思考的な距離)

過去形、丁寧表現、仮定法など、ばらばらだった文法事項がたった1本の糸で結びつくのである!

 もちろん図説を用いた部分的な知識の定着であれば類似の本はあるだろう。しかし、この本の革新的な部分は、総括的に単語や文法を分析し、英語のシステムと「意識」で解説しているところである。「基本文系」「修飾方向」「配置転換」「時表現」の4つから編成し、従来の文法書にない視点から実用英語を勉強することで、英語という言語への本当の理解を促してくれる。ネイティヴスピーカーの「意識」がそこにある。

 英語学習は、体(脳と口)が自動的に反射するまで鍛えなければならない。最終目標は、日本語を介さずに、感覚的に「左から右、上から下へ語順のまま使用する」ことだあり、感覚的なアプローチが絶対的に有効なのである。機会的暗記から感覚的理解へ繋げていくことで、4技能の飛躍的な向上が望めるのである。

※参考文献

『一億人の英文法』(東進ブックス)、(2011)大西泰斗・ポールマクベイ


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